第3動画収集所
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2007年 02月 09日
アフリカ睡眠病
アフリカ睡眠病はトリパノソーマという原虫がヒトに感染してひき起こす重要な熱帯病です。この病気を起こすトリパノソーマには2種類あります。ガンビアトリパノソーマはアフリカの南、北緯約15度、ビクトリア湖から西海岸にわたって流行しています。また、ローデシアトリパノソーマは、その分布域がガンビアトリパノソーマの分布域の東南にあって、重なり合うことがありません。その理由はそれぞれのトリパノソーマを媒介するツェツェバエの分布域が異なるからです。
アフリカ睡眠病はツェツェバエが媒介します。ツェツェバエは雌雄とも昼間に吸血します。感染者の血液中のトリパノソーマがツェツェバエに吸血されると、その体内で発育・増殖し2ないし5週で発育終末トリパノソーマ型となって次の感染源となります。
このトリパノソーマを持っているツェツェバエがヒトを吸血する際にトリパノソーマはヒトの体内に侵入します。ツェツェバエは刺されて1ないし2週の潜伏期の後、原虫は血液中、次いでリンパ節に入り増殖します。その時にはリンパ節が腫脹し、発熱を起こし、肝臓と脾臓が腫大してきます。
原虫が中枢神経系に侵入すると予後が悪くなります。頭痛が起こり、意識が混濁してくると患者はひたすら眠るようになります。食事もしなくなりますから、だんだんやせてきて貧血が起こり、やがて患者は全身衰弱となって死亡してしまいます。
この睡眠病はヒトだけに感染するものではありません。実はアフリカの中央部の広大な土地でウシなどの家畜が飼えないのはこのトリパノソーマが分布しているからなのです。このことがアフリカの食糧事情を困難にしている最大の理由なのです。
ローデシアトリパノソーマはヒトよりもウシや野獣が好きです。しかし、ヒトに感染しますと、ガンビアトリパノソーマにくらべて症状がひどくなり、急性の経過をとり死亡率がさらに高くなります。